1 VPNプロバイダの選び方
1.1 無料VPNと有料VPN
無料VPNと有料VPNの違いは、その名の通りサービスが”無料”か”有料”であるかです。
「無料のものがあるのなら、わざわざ有料のものなんて必要無い」と思われがちですが、タダほど怖いものはありません。
本来、利用者のプライバシーを守ることがVPNの役目ですが、無料VPNを利用することで、情報が危険にさらされるリスクを高めてしまうこともあります。
例えば、VPNプロバイダが利用者のデータを第三者に転売していたり、アプリにマルウェアを忍ばせていることがあります。
さらに恐ろしいことは、違法行為をしていないのに犯人の容疑をかけられる場合もあるということです。
”Hola”という無料VPNは、他のユーザーとIPアドレスを共有し、無料ユーザーの帯域を有料ユーザーに割り当てることをしていました。
これは、有料ユーザーの出口ノードが無料ユーザーとなってしまうことを意味します。
ですので、Holaを用いて他の利用者が違法な活動を行っていた場合、まるで自分が違法行為をしているかのように捉われてしまうことがあります。
このように、無料VPNのリスクは思ったよりも高く、できれば使わないのが無難です。
1.2 VPNの比較するべきポイント7選
ここでは、有料のVPNプロバイダを選ぶ際に重要となるポイントを7点紹介していきたいと思います。
①VPNを利用する目的に合っているか
②利用料金
③端末に対応しているか(OSなど)
④通信速度
⑤ログを保持しているか
⑥サポート体制(返金保証など)
⑦サーバーの設置台数・設置国数
※これらの点は、私が重要だと思う順に並べられていますが、人によって順番は様々です。
それでは、各ポイントを詳しく見ていきましょう。
VPNを利用する目的に合っているか
まずは、VPNを”利用する目的”を思い出しましょう。
「無料Wi-Fiを使用したいから」や「海外の検閲を回避したいから」など、VPNを契約する前にどうして契約しようとしているのかを明確にすることは重要です。
せっかくVPNを契約しても、必ず目的が達成できるかはわかりません。
例えば、世界VPN(日本のプロバイダ)ではNetflixに対応していないため、海外でNetflixを観ようと思い、VPN接続をしても動画を視聴できません。
ほかにも、ExpressVPNやNordVPNでは、HuluやAmazon Prime Videoに対応していないなど、VPNプロバイダによって対応可能かが異なります。
ですので、契約前に今一度、目的を確認し、その目的を達成できるプロバイダを選択する必要があります。
利用料金
価格は大事です。
毎月の価格があまりにも高ければ、やむなく利用するのを断念せざるを得ませんからね。
VPNは、プロバイダによって価格が異なります。
VPNプロバイダ | 価格(月額) |
NordVPN | 11.95$ |
ExpressVPN | 12.95$ |
CyberGhost VPN | 1425円 |
PureVPN | 10.95$ |
Surfshark VPN | 11.95$ |
VyprVPN | 12.95$ |
世界VPN | 1100円 |
”$”がわからない方は、単純に$×100=円で考えてください。
また、表のリンク先は各プロバイダの料金ページです。
表を見る限りでは、各プロバイダにそこまで大きな価格の差はないと言えます。
一般的に、月単位の契約よりも年単位の契約にすることで、安くすることができます。
VPNプロバイダ | 価格(月額) |
NordVPN | 3年間契約で3.49$ |
ExpressVPN | 12か月契約で8.32$ |
CyberGhost VPN | 1年契約で289円 |
PureVPN | 5年契約で1.32$ |
Surfshark VPN | 25か月契約で1.91$ |
VyprVPN | 2年契約で2.5$ |
世界VPN | – |
月単位の契約では、100~200円程度の差でしたが、年以上の契約となるとさらに差が広がることがおわかりいただけると思います。
たかが数百円程度の違いかもしれませんが、長らく使ううちに安さの重要さに気づきます。
ですので、VPNを契約する際は、なるべく価格が安く、目的に合ったプロバイダを見つけるのが良いでしょう。
端末に対応しているか(OSなど)
契約したVPNがコンピューターやスマートフォンの根幹となるOS(Windows、Mac OS、Android、iOS、Linuxなど)に対応していないと、いざ接続しようとしてもうまくいかない場合があります。
基本的に、有料VPNであれば、どのOSにも対応されていますが、時々対応されていないものもあります。
また、PlayStationなどのゲーム機やChromeの拡張機能には対応されていない場合があるので注意が必要です。
VPNプロバイダ | 対応端末 |
NordVPN | Windows, Mac OS, Android, iOS, Linuxなど |
ExpressVPN | Windows, Mac OS, Android, iOS, Linux, Chromebook, Kindle Fireなど |
CyberGhost VPN | Windows, Mac OS, Android, iOS, Linux, Chrome, FireFoxなど |
PureVPN | Windows, Mac OS, Android, iOS, Linuxなど |
Surfshark VPN | Windows, Mac OS, Android, iOS, Linux, Chrome, FireFoxなど |
VyprVPN | Windows, Mac OS, Android, iOS, Linuxなど |
世界VPN | Windows, Mac OS, Android, iOS, Linuxなど |
表のリンク先は各プロバイダの対応端末ページです。
通信速度
通信速度もなかなか重要なポイントです。
ただWebサイトを閲覧するだけでしたら、そこまで気にする必要はありません。
しかし、NetFlixやAmazon Prime VideoなどのVOD(Video On Demand)では、”通信速度”が非常になります。
通信速度があまり無いVPNに接続してしまうと、映像が途切れたり、再生に時間がかかったりすることがあります。
一般的に、VPNに接続すること自体が通信速度を遅くしてしまう要因となるので、その中でも特に早いものを見つけるのが無難な選択と言えるでしょう。
具体的なVPNの通信速度は、各公式サイトにもあまり記載されておりません。
時と場合によって常時変化する通信速度を、公言できないのでしょう。
ですので、もし通信速度を知りたいのであれば、VPN接続時の通信速度比較サイトなどを参考にするとよいでしょう。
ログを保持しているか
”ログ”とは、「コンピュータの利用履歴」を意味します。
例えば、「ログインした時間」や「どのサイトにいつアクセスしていたか」、「どのファイルをいつダウンロードしたか」などが”ログ”と呼ばれるものです。
単純に、”履歴”と読み替えてしまっても良いでしょう。
VPNサーバーは、あなたのパソコンとサーバーを仲介するため、実質的にすべての情報を記録できます。
VPNでは、このログを”保持するプロバイダ”と”保持しないプロバイダ”がいます。
もし、完全なプライバシーを確立したいのであれば、ログを保持しないVPNプロバイダを選択するのが良いでしょう。
ちなみに、政府(警察および裁判所を含む)がVPNプロバイダに情報の開示を求めることが時々あります。VPNは身元を隠すためには、優れているので良く犯罪に使われるからです。その際に、ログを保持していないVPNプロバイダは、本当に提出できるものがありません。しかし、保持しているVPNプロバイダは、証拠を提出するしか選択できません。たとえ、一企業であったとしても、裁判所の令状があれば、強制的に捜査されていまいます。
サポート体制(返金保証など)
”日本語対応可能”、”返金保証”、”サポート窓口の時間帯”など、サポートにも種類があります。
この中でも特に重要なのが、”返金保証”でしょう。
VPNの契約をしたけれど、いざ使ってみると全然使い物にならないといった時に、返金されなければもう利用しようとは思いませんよね。
返金保証に関しては、VPNプロバイダによってかなり異なり、「どんな理由でも30日以内であれば返金可能」もあれば、「条件に当てはまる限り7日以内で返金可能」など様々です。
VPNプロバイダ | 返金保証 |
NordVPN | 購入から30日以内 |
ExpressVPN | 購入から30日以内 |
CyberGhost VPN | 1か月単位の契約→購入から14日以内
1か月以上の契約→購入から45日以内 |
PureVPN | 購入から31日以内 |
Surfshark VPN | 購入から30日以内 |
VyprVPN | 購入から30日以内 |
世界VPN | 2ヶ月間無料トライアル |
表のリンク先は各プロバイダの返金保証ページです。
また、”日本語対応”に関しては、日本のVPNプロバイダ(世界VPN)を選ぶのが良いでしょう。
海外のVPNプロバイダは、サポートセンターが英語対応なので、英語が話せないと厳しいです。
”サポート窓口の時間帯”は、あまり気にする必要もありませんが、24時間対応のVPNプロバイダが良いでしょう。
海外のVPNプロバイダは、基本的に24時間対応が多いです。
ちなみに、日本のVPNプロバイダは24時間対応していない場合が多いです。
世界VPNのサポート対応時間帯は、9:00~18:00(平日)となっています。
サーバーの設置台数・設置国数
サーバーの設置台数は大いに越したことはないでしょう。
利用者が増えてもサーバーが対応できるほどの台数分あれば、通信速度が遅くなることはありません。
また、サーバーの設置国数も多いほうが良いでしょう。
しかし、契約の前に、自分が接続したい国にVPNサーバーが設置されているかを確認するようにしましょう。
VPNプロバイダ | サーバー数 |
NordVPN | 60か国, 5456個のサーバー |
ExpressVPN | 94か国, 3000個のサーバー |
CyberGhost VPN | 90か国, 5932個のサーバー |
PureVPN | 133か国, 2070個のサーバー |
Surfshark VPN | 61か国, 1040個のサーバー |
VyprVPN | 70か国, 700個のサーバー |
世界VPN | 5か国, ?個のサーバー |
表のリンク先は各プロバイダのサーバー詳細ページです。
こう見てみると、海外のVPNプロバイダがどれだけすごいのかが一目瞭然ですね。
実際、日本以外のVPNサーバーに接続したければ、海外のVPNプロバイダを選ぶの無難です。
2 VPNプロバイダ選びで気を付けること
2.1 無料VPNで気をつけるべきこと
何度も述べていますが、無料VPNを使用するのは避けるのが無難です。
どうしても無料でVPNを使用したいのであれば、それなりの妥協は必要かもしれません。
また、その中でも”データを第三者に転売する”や”出口ノードを無料VPNユーザーのコンピューターにする”ような無料VPNプロバイダを選択するのは絶対にやめましょう。
これらのVPNを利用するのであれば、利用しないほうが良いと言っても過言ではありません。
おすすめな広告が表示されるくらいであれば、利用者がうんざりするだけなので、そこまでセキュリティ的に問題ありませんが、データを転売されてしまうのは、かなりリスクがあります。
ですので、可能な限り有料VPNの利用をおすすめします。
2.2 有料VPNで気をつけるべきこと
有料VPNの中にも「ログを保持しているVPN」があります。
もちろん、ログを保持することが問題であると言っているわけではありません。
しかし、ログは一種の個人情報であり、それらを自分以外の誰かに保持されていると思うと怖くはありませんか?
また、比較的安く、サーバー数が多い海外のVPNプロバイダを利用する方が多いですが、英語対応されていないと何かとトラブルが起きやすいです。
「返金保証で返金されない」、「サイトにアクセスできない」など、結構問題はあります。
ですが、最近は海外のVPNを紹介するサイトが増えてきており、トラブルが起きても、調べれば何とかなる場合が多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
”VPNプロバイダの選び方”が少しでもおわかりいただけましたか?
VPNの検討で重要なことは、サービスを利用する目的を忘れないことです。
また、”ただより高いものはない”ということわざも素直に聞き入れたほうが良いでしょう。
良いVPNと出会って、自分のプライバシーは自分で守っていきましょう。